CQ31 成人鼠径ヘルニアに対する医療費はどのくらいか?

Answer 

直接的医療コストだけを比較すると鼠径部切開法を局所麻酔で行う日帰り手術が最も安価となるが、社会的医療経済的側面も考慮すると腹腔鏡下ヘルニア修復術も医療コストは削除される可能性がある(エビデンスレベルⅠ~Ⅴ)。

解説

 治療に関する医療費は術式や入院の有無、麻酔法などによって異なる。現在、日本の医療費は厚生労働省が定める診療報酬点数法によって請求されており鼠径ヘルニアもこれに準じている。

 手術費だけで単純に比較すると鼠径部切開法に対して、腹腔鏡下ヘルニア手術の方がコスト高となる。

 同じ術式の手術を日帰りと入院で行った場合を比較すると手術施行施設によっても差があり、無床診療所では入院費はかからず、有床診療所と病院を比較しても入院基本料や他のかさんに差があり、病院入院が最もコストが高くなる。

 麻酔法で比較すると施行される術式により選択できない麻酔もあるが、一般に局所麻酔、腰椎麻酔および硬膜外麻酔、全身麻酔の純にコスト高となる。しかし、患者の術中疼痛が各麻酔で同じようにコントロールできないので金額のみで一律に評価することには問題がある。

 単純に金額だけを比較すると直接的医療コストは鼠径部切開法を局所麻酔で行う日帰り手術が最も安価となる。しかし周術期において鼠径部切開法と腹腔鏡下ヘルニア手術を比較すると、海外の文献では腹腔鏡下ヘルニア手術の方が手術後の疼痛や痺れ感などが少なく、日常生活復帰や社会復帰期間では鼠径部切開法と比較してTEP、TAPPが共に短いとの報告が見られる。特に両側ヘルニア症例では社会復帰への期間は短いとされ、社会的医療経済の側面からは腹腔鏡下ヘルニア手術が優れていると判断できる報告も多い。保険制度が日本と海外では異なるものの術後疼痛の軽減、早期回復、早期社会復帰による社会的医療経済的側面を含めて比較をすると腹腔鏡下ヘルニア修復術も医療コストは削減される可能性がある。

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