CQ26-1 女性鼠径部ヘルニアの手術適応は?

Answer 

女性の鼠径部ヘルニアでは男性と比べ緊急手術、腸管切除の割合が高く、確定診断がつけば原則手術を検討することが望ましい(推奨グレードC1)。

解説

 デンマークのナショナルヘルニアデータベースに登録された5.5年間の検討(女性鼠径部ヘルニア手術5,343例、男性鼠径ヘルニア手術83,753例)とスウェーデンの他施設共同研究(女性6,895人、男性83753人)によれば、女性鼠径ヘルニアは69%、大腿ヘルニアが31%であり、緊急手術は女性6.7~16.9%、男性2.7~5.0%、腸管切除は女性16.6%、男性5.6%と有意に高いことがほうこくされている。

*北海道のハイボリュームセンターのデータを以前HPで紹介いたしましたが、大腿ヘルニアが20%弱であり、頻度は高いです。その1割前後が緊急手術、腸管切除が16%となると、決して侮ることのできない病態であることは間違いありません。推奨グレードC1ですが、臨床的には女性で確定診断(CT実施をおすすめします)つけば、原則手術を検討してください。

解説

 大腿ヘルニアまたは合併ヘルニアを覗いた女性鼠径ヘルニア手術3,696例の検討では、再手術率は4.3%で、術式別ではLichtenstein法4.4%、鼠径部切開組織縫合法4.5%、鼠径部切開前方到達メッシュ法4.3%、腹腔鏡下ヘルニア手術1.8%で有意差は認められなかった。女性鼠径ヘルニアに対するTEP法とOpen法では手術時間、在院日数、合併症、ペインスコア、社会復帰までの時間に差は認められない。

 鼠径ヘルニア術後再発の形式は、女性では鼠径54.1%、大腿41.5%、その他4.4%、男性では鼠径88.4%、大腿5.4%、その他6.2%であり、女性の手術では大腿再発が多い。また全体の再発率も女性が有意に多い。再発の時期は男性と比較し早期に起こっている傾向があり初回手術時の大腿ヘルニアの見逃し、あるいは初回術式時に大腿ヘルニア有無を必ず確認する(routine exploration)ことが必要である。

 以上のことから大腿ヘルニアの有無の確認および大腿ヘルニア予防の観点から全身状態が許せば腹腔鏡下ヘルニア手術を含む腹膜前修復法が望ましい。

 女性の内鼠径ヘルニアは稀であり、一般的に女性の鼠径管後壁は男性と比較し典型的には強く、外鼠径ヘルニア修復において、後壁補強は不要と考えられている。女性の大腿ヘルニアにおいて内鼠径ヘルニアが併存することは稀である。大腿法による修復後の再発率は1~2%である。このため術前診断が打相対ヘルニアで併存ヘルニアが疑われない場合に限り大腿法を検討しても良い。

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