CQ26妊娠中を含む成人女性鼠径部ヘルニアに対して推奨される治療は?
Answer
女性鼠径ヘルニアでは、大腿ヘルニアの確認および予防の観点から腹腔鏡下ヘルニア手術
を含む腹膜前修復法が望ましい(推奨グレードC1)。
術前診断が大腿ヘルニアのみであれば大腿法を検討してもよい(推奨グレードC1)。
妊娠中はヘルニア嵌頓のリスクが低く、出産後の手術を検討してよい。ただし、嵌頓等の緊
急手術の場合はこの限りではない(推奨グレードC1)。
*女性鼠径ヘルニアでは術前の画像評価による診断が重要と考えられます。我々はヘル
ニア条件(腹臥位で鼠径部を除圧)でのCT検査を原則撮影し、評価します。ALOHA
クリニックの標準術式であるTAPPは外鼠鼠径ヘルニア・内鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア
すべてのヘルニア門を直視下にメッシュで被覆する術式ですので、女性鼠径ヘルニアには
確実な方法です。
*ただし、鼠径部ヘルニアと鑑別が必要な疾患にNuck菅水腫があります。この疾患には子
宮内膜症を合併することがあり、腹腔鏡手術で腹腔内に水腫内容を播種させてしまう可能
性があるので、Nuck菅水腫の場合、その部位にもよりますが、鼠径部切開法による手術を
お勧めすることがあります。