CQ24-2 嵌頓・絞扼性ヘルニアの治療法は?
Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術や腹膜前到達法による手術を考慮してもよい(推奨グレードC1)。
解説
嵌頓・絞扼性ヘルニア328例に対し、腹腔鏡したヘルニア手術(TEP、TAPP)が施行さ
れ34例(うち25例は軽微)の合併症を認めた。17例の調節所が施行され、施行可能な術
式と報告されている。絞扼鼠径ヘルニア手術においては、腸管切除の際に他の皮膚切開追加
の必要がなく術野の展開や視野が良好な腹膜前到達法が推奨されている。腹膜炎や腸管壊
死などの明らかな汚染手術を除く絞扼ヘルニアに対する緊急手術において、Lichtenstein法
とBassini法の術後合併症には差がなく、メッシュ仕様に問題はないと結論された。自然還
納した絞扼ヘルニアにおいて血清腹水を認めた場合は、ヘルニア嚢からの腹腔鏡による腹
腔内精査が有用であるとする報告もある。
いずれにしても、術式間のRCTはなく、腸管切除などの必要性が生じる可能性も念頭に
置くと、術野の展開が容易であ良好な視野が得られやすく、開腹手術への以降がスムーズに
行え、ヘルニア門を確実に修復できる術式を選択するのは理にかなっている。ただし現時点
では、汚染手術におけるメッシュ仕様の安全性に関して決定的な指針は示せない。嵌頓・絞
扼性ヘルニアの治療は個々の症例ごとにさまざまな判断が必要とされることを考慮すると、
経験の浅い外科医は単独で対応するのではなく、ある程度経験を積んだ外科医が対応する
病態である。
CQ24-3 嵌頓ヘルニアの鑑別診断方法は?
Answer
詳細な身体検査をはじめ、各種検査を併用する。
解説 嵌頓ヘルニアのうち緊急手術が必要な症例を鑑別できる方法が重要である。また、成人大腿ヘルニアは嵌頓する危険性が高く、鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアの鑑別は有用である。血液検査や各種画像検査(腹部超音波検査、CT、MRIなど)が有用だとされる報告は散見されるが、いずれも十分な科学的根拠があるとは言い難く、決定的な方法を見いだせない。現時点では身体所見をはじめ総合的に判断せざるをえない。