CQ15 鼠径部ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術は推奨できるか?

Answer 

手技に十分習熟した外科医が実施する場合には、鼠径部ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術は推奨できる(推奨グレードB)。

CQ15-1 腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して早期回復が望めるか?

Answer 

腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開組織縫合法やメッシュ法と比較して、手術時間が長いものの、術後疼痛、神経疼痛、慢性疼痛は軽度で回復が早い(推奨グレードB)。

解説

これまでに数多くの無作為化比較試験やメタアナリシスが行われている。腹腔鏡下ヘルニア手術と鼠径部切開組織縫合法やメッシュ法との比較では、腹腔鏡下ヘルニア手術の手術時間は長いが、術後疼痛が軽度で血腫・神経損傷・慢性疼痛が少ないとの報告が見られる。これらの報告によれば、入院期間が短い、回復が早い、社会復帰・仕事復帰が早い、と評価されている。腹腔鏡下ヘルニア手術と鼠径部切開メッシュ法との比較では、腹腔鏡下ヘルニア手術はやはり手術時間は長い、漿液腫が多いが、術後疼痛が軽度で血腫・神経損傷・慢性疼痛が少ない、回復が早い、とされている。また、再発鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア手術とLichtenstein法とのメタアナリシスがあり、腹腔鏡下ヘルニア手術が漿液腫・血腫が少ない、との評価がある。

*今回のクリニカルクエスチョンは色々な内容が含まれており単純に比較することが出来ない難問です。また、参考文献も2000年代前半のものが多く、国内でも現在のTAPP法とは異なる手術(下腹壁動静脈の腹側にメッシュを巻く など)であった可能性が高いです。

我々の検討でも同様の結果でしたが、一般的にTAPPのlearninng curveは50症例程度とされるが、十分習熟するにはとても及ばない。Lichtenstein法やPlug法も推奨グレードBであるが、『手技に十分習熟した外科医』という基準が腹腔鏡下ヘルニア手術に付与されることになり、これはもっともである。

CQ15-1に関しても推奨グレードBであるが、鼠径部切開法が得意で、その手術を何1000例と執刀されている手術よりすべての腹腔鏡下ヘルニア手術の回復が早い はずが無かろう と思う。

手前味噌で言うわけではないが、やはり言わなくてはならないと思うので明言します。『鼠径ヘルニアを日帰り手術』で実施している施設での手術が鼠径部ヘルニアに対して推奨できるのではないでしょうか。なぜなら、術後の回復=社会復帰 であり、日帰りできるということは術後疼痛等が軽微であり、自宅で日常生活を送ることが出来る ということではないでしょうか。手術術式だけではなく麻酔方法・術後の疼痛管理などすべてを実施することが周術期管理であると考えます。痛いから病院に入院してベッドで休んでいると合併症が増えることの教育も重要ですね。

**ここまで書きましたが、入院での鼠径ヘルニア手術を完全に否定しているわけではありません。症例を吟味して、より短期の入院期間を目指すべきであると提言しているだけです。もちろん重症基礎疾患(→局麻?)や独居の患者さんは入院が必要です。\

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