『褥瘡』

『総合外科医』の1日 vol.⑯

『褥瘡』は訪問診療を実施している外科医にとって治さなくてはいけない病態です

まず、診療報酬改定に伴い令和2年6月1日より、S+N社のPICOが在宅療養社への適用が追加となりました

自分自身もupdate していなかった部分を本日共有させていただきます

NERDS  & STONES

 NERDS:創表面に限局した細菌負荷の増大

  N Nonhealing wound 治癒しない創

E Exudative wound 滲出液の多い創

R Red and bleeding wound 創底が赤く出血しやすい創(過剰肉芽を伴う)

D Debris in the wound 創内に壊死組織などが存在する

S Smell from the wound 創から悪臭がする

STONES:創深部に至る感染

S Size in bigger 創面積の拡大

T Temperature increased 創周囲の熱感

O Os (probes to exposed bone) プローブを挿入すると骨に達する,骨の露出

New area of breakdown 創周囲皮膚の新たな損傷

E Exudate,erythema,edema 滲出液,発赤,浮腫がみられる

S Smell 悪臭が漂う

クリティカルコロナイゼーションとバイオフィルムの関連性

クリティカルコロナイゼーションの状態にある創傷は,通常の感染創でみられるような発赤,腫脹といった感染徴候が乏しいため,対応の遅れが生じることがあります

この感染徴候の乏しさの要因の1つとして,創面における細菌バイオフィ ルム形成が予想されています。

細菌がバイオフィルムに包まれると,白血球の活性が低下するため, 宿主による免疫応答が適切に作動せず,防衛反応が起こりにくいことが感染徴候の乏しさを招いていると考えられています

バイオフィルムとは

 近年,さまざまな感染症の難治化,慢性化にバイオフィルムの関与が指摘されています

慢性創傷においてもバイオフィルムが難治化1つの原因であると考えている学者もいます

バイオフィルムとは,医療器材や損傷した組織に付着した細菌が菌体表面に粘液状多糖体を産生し,そのなかでコロニーを形成した状態を指します

バイオフィルム形成には,細菌同士の コミュニケーションシステムであるクオラムセン シング(quorum-sensing)機構が関与し,細菌はこの機構を介して自身の置かれた環境(細菌密度など)を認識し,状況に応じて病原因子を発現することが知られています

つまり,細菌は細菌密度が一定濃度に達するまでは,病原因子を発現せず,バイオフィルム内で分裂・増殖を繰り返しながら,宿主への攻撃の契機を見計らっているものと考えられています

創傷においてバイオフィルムはなぜ問題か

 先述のとおり,創傷が難治化する1つの要因として,バイオフィルムの存在が示唆されています

これまでに,バイオフィルムが存在すると抗菌薬による治療に対する抵抗性が増すこと,免疫細胞である白血球が菌体に近づけず貪食・殺菌できないこと,バイオフィルムに近づく好中球は免疫応答が低下し,アポトーシスに陥ることが問題点として指摘されています

そのため, 抗菌薬投与前にバイオフィルムの破壊や形状変化が求められます

バイオフィルムが創傷難治化に関与することが明らかとなった場合,慢性創傷への臨床応用が期待されます

近年のバイオフィルム対策

 バイオフィルムマトリックスは,さまざまなポリサッカライド,タンパク質,細胞外DNAなどによって構成されることが報告されています

 2002年にWhitchurchらが,DNA分解酵素によりバイオフィルムの破壊が可能であることを明らかにしました

それ以降,バイオフィルム形成において細胞外DNAが中心的な役割を担うことが明らかになり,今後は細胞外DNAをターゲットとした治療法の開発が進むことが予想されます

 褥瘡治癒にはこれだけ科学的な根拠が基礎となり、治療体系が出来上がってきました

 主なケアは看護師さんが中心に行われていくと思いますが、外科医はこのバイオフィルムを黒い壊死組織と同じように削り(デブリ)ましょう

 バイオフィルムや壊死組織、トンネルやポケットがある褥瘡は治癒しない ことが外科学の基本です

は訪問診療を実施している外科医にとって治さなくてはいけない病態です

まず、診療報酬改定に伴い令和2年6月1日より、S+N社のPICOが在宅療養社への適用が追加となりました

自分自身もupdate していなかった部分を本日共有させていただきます

NERDS  & STONES

 NERDS:創表面に限局した細菌負荷の増大

  N Nonhealing wound 治癒しない創

E Exudative wound 滲出液の多い創

R Red and bleeding wound 創底が赤く出血しやすい創(過剰肉芽を伴う)

D Debris in the wound 創内に壊死組織などが存在する

S Smell from the wound 創から悪臭がする

STONES:創深部に至る感染

S Size in bigger 創面積の拡大

T Temperature increased 創周囲の熱感

O Os (probes to exposed bone) プローブを挿入すると骨に達する,骨の露出

New area of breakdown 創周囲皮膚の新たな損傷

E Exudate,erythema,edema 滲出液,発赤,浮腫がみられる

S Smell 悪臭が漂う

クリティカルコロナイゼーションとバイオフィルムの関連性

クリティカルコロナイゼーションの状態にある創傷は,通常の感染創でみられるような発赤,腫脹といった感染徴候が乏しいため,対応の遅れが生じることがあります

この感染徴候の乏しさの要因の1つとして,創面における細菌バイオフィ ルム形成が予想されています。

細菌がバイオフィルムに包まれると,白血球の活性が低下するため, 宿主による免疫応答が適切に作動せず,防衛反応が起こりにくいことが感染徴候の乏しさを招いていると考えられています

バイオフィルムとは

 近年,さまざまな感染症の難治化,慢性化にバイオフィルムの関与が指摘されています

慢性創傷においてもバイオフィルムが難治化1つの原因であると考えている学者もいます

バイオフィルムとは,医療器材や損傷した組織に付着した細菌が菌体表面に粘液状多糖体を産生し,そのなかでコロニーを形成した状態を指します

バイオフィルム形成には,細菌同士の コミュニケーションシステムであるクオラムセン シング(quorum-sensing)機構が関与し,細菌はこの機構を介して自身の置かれた環境(細菌密度など)を認識し,状況に応じて病原因子を発現することが知られています

つまり,細菌は細菌密度が一定濃度に達するまでは,病原因子を発現せず,バイオフィルム内で分裂・増殖を繰り返しながら,宿主への攻撃の契機を見計らっているものと考えられています

創傷においてバイオフィルムはなぜ問題か

 先述のとおり,創傷が難治化する1つの要因として,バイオフィルムの存在が示唆されています

これまでに,バイオフィルムが存在すると抗菌薬による治療に対する抵抗性が増すこと,免疫細胞である白血球が菌体に近づけず貪食・殺菌できないこと,バイオフィルムに近づく好中球は免疫応答が低下し,アポトーシスに陥ることが問題点として指摘されています

そのため, 抗菌薬投与前にバイオフィルムの破壊や形状変化が求められます

バイオフィルムが創傷難治化に関与することが明らかとなった場合,慢性創傷への臨床応用が期待されます

近年のバイオフィルム対策

 バイオフィルムマトリックスは,さまざまなポリサッカライド,タンパク質,細胞外DNAなどによって構成されることが報告されています

 2002年にWhitchurchらが,DNA分解酵素によりバイオフィルムの破壊が可能であることを明らかにしました

それ以降,バイオフィルム形成において細胞外DNAが中心的な役割を担うことが明らかになり,今後は細胞外DNAをターゲットとした治療法の開発が進むことが予想されます

 褥瘡治癒にはこれだけ科学的な根拠が基礎となり、治療体系が出来上がってきました

 主なケアは看護師さんが中心に行われていくと思いますが、外科医はこのバイオフィルムを黒い壊死組織と同じように削り(デブリ)ましょう

 バイオフィルムや壊死組織、トンネルやポケットがある褥瘡は治癒しない ことが外科学の基本です

1 Comments on “『褥瘡』”

  1. ピンバック: 『褥瘡』 — 『総合外科医』の覚え書き | Mon site officiel / My official website

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