『日帰り手術』 その4

今回も京都大学DSUのHPから引用させていただきます
どんな手術が『日帰り手術』でできますか?
欧米では70-80%の手術がデイサージャリーで行われていますので、今やどんな手術ができるかというよりは、どんな手術がデイサージャリーでできないかが問われる時代です
しかしながら、京都大学附属病院では患者さんの安全のために手術にある程度の制限を加えることにました
具体的には次の3つの条件を満たすものをデイサージャリーとして扱うことにしています
これらの条件は手術を行う科の外来と麻酔科医による全身麻酔外来で判定いたします
1.健康状態
- 既往歴、血液検査、レントゲン、心電図など健康状態のチェックをして大きな病気がないこと
2.手術内容
- 短時間ですむ標準的手術であること
- 傷のケアが簡単で痛みのほとんどないこと
- 出血などの合併症がまれであること
3.患者さんと家族
- デイサージェリーの説明が医師からなされて手術を行うことに患者さんが同意していて協力的であること
- 責任能力のある成人(家族の人が望ましい)が付き添いとして当日一緒に来院できること
代表的なデイサージェリーの手術
皮膚・皮下腫瘍摘出術、鼠経ヘルニア・陰嚢水腫手術、顎下腺手術、気管支狭窄拡張術、痔核根治術、経尿道的レーザー前立腺切除術、胸腔鏡下交感神経切除術、胸腔鏡下肺切除術、経尿道的尿路結石除去術、甲状腺手術、腹腔鏡下胆嚢摘出術、乳腺腫瘍摘出術、下肢静脈瘤手術、関節鏡手術、アキレス腱断裂手術、白内障手術、腹腔鏡下卵巣摘出術、子宮筋腫核出術 その他
ここまでは京都大学DSUからの引用ですので、ますいかいの先生が主導した手術室ユニットの考えになります
もちろん、この土台をもとに『総合外科医』として、私のクリニックであればどのような手術が可能であるかを検討してまいりました
私の専門は消化器外科(特に肝胆膵 および 腹腔鏡手術)です また、最近の約10年間は腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術に力を注いでまいりました
ですから 私が出来る『日帰り手術』は
- 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術
- 腹腔鏡下胆嚢摘出術
- 腹腔鏡下虫垂切除術
となります
ただし、『日帰り手術』はあくまでも待機手術が原則ですので、急性胆嚢炎や急性虫垂炎の緊急手術は出来ません
症状の軽微な胆嚢結石症や(小さな)胆嚢ポリープ、いわゆる「お薬でちらした盲腸(=虫垂)」などが対象になります
上述の術前検査に含まれませんが、疾患に対する検査として
鼠径ヘルニア:CT検査
胆嚢摘出術:腹部超音波検査・MRCP検査
虫垂炎:腹部CT検査
などは、手術にどれくらいの時間を要するかということを判断するためには必要であると考えます
京都大学DSUではおよそ3時間以内の手術時間とのことですが、できれば2時間以内程度に完結できる術式=手術が良いのではないかと考えております
胆嚢摘出術などは手術合併症を併発した場合は入院を要することが多いので、入院先の確保は重要かと考えます
ALOHA外科クリニックでは
城南地区:昭和大学病院・田園調布中央病院・奥沢病院・松井病院
旗の台内科・救急クリニック
神奈川県:戸塚共立第一病院
と連携をとり、休日等の連携体制を確保した上で手術スケジュールを立てています
また、上記に必要な検査なども受診当日に検査が可能です(ただしMRCPは別)
最後に付け加えさせていただきたい術式が
「局所麻酔下の鼠径部切開法による鼠径ヘルニア手術」です
手術方法(例えばMeshは何とか、pure tissue repair なのか)は関係ありません
心臓や肺などの臓器に異常がある高齢者患者さんであれば、脊椎麻酔(→入院必要)などではなく、局所麻酔下の手術ができれば、休薬や食事制限などすることなく『日帰り手術』が可能ということです
なかなか大学病院などでは受け入れがたいのかもしれませんが、患者さんのメリットは大きいと思います
ただし、高度肥満の方はこの方法が困難な可能性があります